粕屋町の現場も着々と進んでいます。

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基礎も無事終わり、土台敷と同時に敷地の一番奥にある運動スペースの「地組」が始まりました。

IMG_1754運動スペースは小さな体育館のような場所で、12メートルもの大スパンのためホームコネクター工法によって柱梁を接合しています。その他の部分はほとんどが一般住宅でも使われる「在来仕口」によるものですが、この工法はプラモデルのように樹脂注入によって接合部を固めます。仮組みして樹脂注入する場合もありますが、今回は大きな架構のため下の駐車場に寝かした状態でフレームを組み、注入後そのまま養生します。これが今回の「地組」です。

材料は国産カラマツの集成材です。

北海道〜宮崎〜福岡と長旅を行ってきました。化粧材は間に合わないため構造材としての納入ではありますが、見た目も化粧材と言っても遜色ない素晴らしい材料です。

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今回の物件は1300㎡超と非常に大きな2階建ての建物であり、燃えにくい建築としなければならない「準耐火構造」の要件があります。木をあらわしとする場合は、火事により燃えた場合構造上必要な寸法は確保できるよう材料のサイズを大きくしなければなりません。これは燃焼し続けると一定の厚みで「燃え止まり」がある木の性質を利用した、よく使われる「燃えしろ設計」によるものですが、この燃えしろ設計によって準耐火の要件をクリアしても、今度は建築基準法の「内装制限」によって木をあわわしにできる面積が限られてきます。スプリンクラーを設置するなど予算上不可能なため、木をどのように見せるかデザイン上検討した上で基準法に沿う形で木を表しにしていきました。

ハードルはこれだけではありません。今回は補助金の関係上、一定量「福岡県産材」を使用しなければならないということも重なっているのです。そのため、強度不足から県産材を使用できない県産材「以外」の材料の材積を極力減らさなければなりません。立派な国産材とはいえ安易に燃えしろ設計によりサイズアップするとこの大断面フレームは一気に材積が増えてしまいます。

準耐火+内装制限という、燃えにくい建築が求められる傍ら、補助金の要件で建物内外に木を(構造に限らず、仕上げとしても)見せなければならない。相反する要求に、地場の業者で施工し、スケジュールとコストをクリアするためできる限り在来工法によって組んでいくという厳しい設計を進めてきた甲斐もあり、在来工法部分でも県産材でもないカラマツの美しいフレームが愛おしくてしょうがありません(笑)。

来週で運動スペースの建方を終え、在来メインと本体部分へと移っていきます。上棟の後は、耐力壁部分の監理が待っています。

非常にタイトなスケジュールの中、全員がスクラムを組んで進んでいきます!

 

カテゴリー: architecture